withコロナで加速すべきは誰のためのデジタル・ガバメント? 第2回

北野菜穂(アスコエパートナーズ)・齋藤好美(アスコエパートナーズ)

スマートシティとデジタル・ガバメントへの扉を開くために ~カギは住民のコエを聞き、伝える仕組みに~

本記事は「行政&情報システム」2020年12月号記事を転載したものです。

1.はじめに

 2020年に入ってすぐに新型コロナウイルス感染症がパンデミックとして発生し、あっという間に世界のパラダイムを変える未曾有の危機として広がりました。三密を避けながら日々の暮らしや働き方を維持する必要に迫られ、あらゆる分野でのデジタル技術の活用が必要不可欠となりつつあります。「ウィズコロナ」というキーワードもメディアに見られるようになりました。確かに、新型コロナウイルス感染症は、これからの街づくりやコミュニティ運営に対して、意識変容を突き付けています。一人一人の「より良い暮らし、安定・持続した生活を求めたい」という想いは変わらずに、しかしなお「ポスト・新型コロナウイルス感染症」という未来社会を考えていかなければなりません。
 さて、コロナ禍の長期化により従来のビジネスモ デルに基づいた経済活動の停滞が生じている中で、スマートシティ事業参画を目指していた事業者の取組みが減速していく可能性があります。同時に、新型コロナウイルス感染症対策に関する国や地方自治体の迅速な対応について、各地域住民の注目が集まっています。よりリアルタイム且つ正確な感染状況が知りたい、“私”が利用できる支援情報が緊急に分かりたい、新しい暮らし方・働き方・学び方を受け入れたい。このような一人一人のニーズにインタラクティブに応えていく、レスポンシブな行政 サービスの実現が、今、切望されています。こうした行政機関の社会的機能の変革と、スマートシティ推進の取組みは、“デジタル・トランスフォーメーションによるユーザー(住民)の体験変容を起点とすることが必須である”という点で、重複すると筆者は考えます。地域住民の想いや環境に合わせてサービスを享受できるスマートシティと、だれ一人残さない社会を実現するためのデジタル・ガバメントと言う取組みは、双方が両輪となって初めて成り立つものである、ということです。私たちが目指そうとしていた未来の姿が、このコロナ問題を前提にすることにより、さらに鮮明になったのではないでしょうか。
 本稿では、この、スマートシティとデジタル・ガバメントを繋ぐ扉を開くためのカギとは何か、を考察していきたいと思います。

2.スマートシティとは何か?

2019年度、内閣府により「戦略的イノベーショ ン創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・ AIを活用したサイバー空間基盤技術のアーキテクチャ構築及び実証研究事業」が行われました。弊社は本事業内の「(a-2)スマートシティ分野の実証研究」において、アクセンチュア社や会津若松市の協力のもと、【図1】に示すような市民向けコミュニケーションポータル「会津若松+(プラス)」にデジタル・ガバメント的なサービスを連携させる実証研究を行いました。
 このSIP事業成果として「スマートシティリファレンスアーキテクチャ ホワイトペーパー」が公開されています。(https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/20200318siparchitecture.html)この冒頭に、スマートシティの定義として「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区(国土交通省)」と記載されています。それに対し、本稿では「スマートシティとは何か?」について、より社会学(意味論)や法整備の状況から考察することにします。そのうえで「スマートシティ」における“だれ一人残さない社会のための行政サービス”というテーマに着目し、デジタル・ガバメントとの協調領域を検討してみます。

【図1】「利用者へのデリバリーを意識した都市OSの開発及び実証研究」概要
出典:https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/a-2-2_200318.pdf

3.語彙意味論から考えるスマートシティ

 シンプルなアプローチですが、「スマート」と「シティ」の言葉の意味を考えるところから始めてみます。「スマート(Smart)」とは、賢い、利口な、気が利く、かっこいい、などの意味を持つ英単語です。最近ではスマートフォンやスマートウォッチという商品が人々の生活に浸透しています。このようにIT分野では、スマートは原義の「賢い」「気が利く」などの意味から転じて、「コンピュータ化された」「高度な情報処理機能が加わった」などの意味で用いられています。一方、「シティ(City)」は行政区画の「市」であったり、町(Town)に対する「都市」という意味で使われたりする英単語です。しかし、例えば大阪府スマートシティ戦略会議にて発表されたスマートシティの分類例を見ると、いわゆる「都市」という分類に区分けされる自治体や地区での事例が多いことは事実であっても、過疎・中山間地域における事例も見られます【図2】。

【図2】規模と人口密度によるスマートシティの分類
出典:http://www.pref.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/smartcitykaigi/smartcitykaigi6.html

 この事例に鑑みると、スマートシティの「シティ」というカタカナ用語を日本人に慣れ親しんだ言葉で表現する場合、「街」または「街づくり」という文脈で理解できるのではないかと考えます。「スマートシティ」とは、意味的に「①日常的に稼働している物理的な器具、施設、設備や人が日常的に持ち歩くデバイスなどにコンピュータ、ソフトウェア、通信装置などを組み込んで情報(データ)を処理・保存・伝送することで、②高度化した社会機能を実現したり、複数の機器または機器と住人とが連携した活動を行うことができたりするような、③街づくり」と捉えることができるでしょう。すなわち、人口規模の大小は条件ではなく、構成要素である一人一人の生活から生じるデータを源泉とする、未来志向をもった街づくりの戦略なのです。したがって冒頭の「スマートシティとは何か?」は、定義付けの問いでありながら、街づくり当事者の自問自答のような問いとして捉えるべきであるということです。

4.法から考えるスマートシティ

 私たちが暮らしている日本社会は、社会システムとしても高度化されており、様々な活動や事業に対し、法や規制が整備されたうえで成り立っています。IoTやデジタル技術を最大限活用した新しいスマートな街づくりを実現するために、日本にはいくつかの法令が存在しています。新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受け、既存の法令の一部が、変わろうとしています。
 まず、高度な通信ネットワークに基づいた街づくりに必要なIT関係の法令整備状況については、2020年10月15日付の内閣官房IT総合戦略室デジタル改革関連法案準備室の資料が分かりやすくまとまっています。(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/houan_wg/dai1/siryou2.pdf)これによると、2000年に制定された高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)は、「高度情報通信ネットワーク社会」を形成するための政策目標や理念を示すもので、日本におけるIT戦略の根幹を成す法律です。この法律では、情報通信技術を活用して形成される高度情報通信ネットワーク社会は「地域経済の活性化、地域における魅力ある就業の機会の創出並びに地域内及び地域間の多様な交流の機会の増大による住民生活の充実及び利便性の向上を通じて、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現及び地域住民の福祉の向上に寄与するものでなければならない」とされています。その後、2014年のサイバーセキュリティ基本法、2016年の官民データ活用推進基本法、2019年の情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル手続法)と、社会課題・地域課題解決のためのITやデジタル技術の活用推進が図られてきました。今般、2020年9月のデジタル改革関係閣僚会議において、内閣総理大臣によりIT基本法の抜本改正について言及されました。これまでより一層、デジタル技術を前提とした「スマートな街づくり」の実現が求められることでしょう。
 次に、新しい街づくりに関する法令について、都市再生特別措置法を見てみます。都市再生特別措置法には、「社会経済構造の転換を円滑化し、国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする」との記述があります。例えば、電子決済技術によりキャッシュレス化を進め、住民の日々の生活をより便利にする、という環境を都市の中で推進するための法、と読むことができますが、この法の中では、「シティ」にあたる「都市」の定義は明記されていません。しかし、この法令の基盤となる「都市再生基本方針」の一部変更が2020年9月に閣議決定されています。この基本方針の「1 都市再生の意義及び目標」の(都市再生の意義)の 章に以下の記載があります。
 「都市は、人々の生活や経済活動等の場を提供する我が国の活力の源泉であり、より快適に生活できる場の提供等により都市の魅力を高めるとともに(後略)」都市とは「人々の生活や経済活動の場」であり、「活力の源泉」であることと示されているのです。
 これらは、スマートシティを考えるうえでも非常に大切かつ有益な2つの指標を示しています。1つは「地域」を軸に考えるべきという指標です。地方自治法に則り区分された“市町村”という法的な行政区画ではなく、人びとが日々移動しながら、働いたり、学んだりする、暮らし区域、流動的な地域という観点から考えるということです。そして2つ目は、この取り組みが活力を生むものでないといけないという指標、すなわち、スマートシティとは「完成させること」ではなく、地域をつくり続ける「活力」を維持することが、目的であるということです。

5.スマートシティとデジタル・ガバメントの協調領域

 行政の機能はスマートシティの中でどのように位置づけられるのでしょうか。ここで、欧州委員会が定義しているスマートシティを見てみます。
「・スマートシティとは、住民とビジネスの利益のためにデジタルおよび電気通信技術を使用 して、従来のネットワークとサービスをより効率的にする場です。
 ・スマートシティは、情報通信技術(ICT)の利用以上に資源利用の改善とCO2排出量の減少を行うものです。そのために、よりスマートな都市交通ネットワーク、給水および廃棄物処理システムの革新、各種設備の電力使用効率性向上を実現させるものです。行政機関がニーズに対しよりインタラクティブ且つレスポンシブな機能を有するようになり、より安全な公共空間の提供と高齢化社会におけるニーズを満たしていくシティであることを意味します。」(筆者訳)(https://ec.europa.eu/info/eu-regional-and-urban development/topics/cities-and-urban-development/city initiatives/smart-cities_en
 スマートシティは、単にICTを多方面で利用している街づくりだけではなく、行政機関がデジタル化し、インタラクティブな組織となり、市民のニーズに対してよりレスポンシブでなければいけない、と主張しています。
 行政機関と住民のインタラクティブな関係を重視する傾向は、国際的な流れとなっています。スイスのビジネススクールIMDとシンガポール工科デザイン大学(SUTD)が2020年9月、「Smart City Index 2020(スマートシティ指標)」を発表しました。(https://www.imd.org/smart-city-observatory/smart-city index/)その中の社会構造指標には、例えば、
・地方自治体の政策決定に関する情報に簡単にアクセスできるか。
・公務員の腐敗は懸念しなくてよいか。
・住民が自治体の意思決定に参画できるか。
・住民は地方自治体の政策に対してフィードバックを提供できるか。
など街のガバナンスについての問いがあります。また、技術指標の中にも、
・都市財政へのオンラインアクセスがしやすくなったことで汚職が減少したか。
・オンライン選挙により投票率が増加したか。
・住民がアイデアを提案できるオンラインプラットフォームによって都市生活は改善されたか。
・身分証明書のオンライン処理により、待ち時間は短縮されたか。
といった質問があります。
 日本におけるデジタル・ガバメントの定義も、デジタル・ガバメント推進方針で次のように定義されています。「デジタル・ガバメントとは、サービス、プラットフォーム、ガバナンスといった電子行政に関する全てのレイヤーがデジタル社会に対応した形に変革された状態を指す。」(https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/densei_houshin.pdf
 スマートシティとデジタル・ガバメントは、対象領域は完全同一ではないものの、複数の機器または機器と住民とが連携したサービスを住民に届けるという点で、必然的に対象領域の重複が発生すると筆者は考えています。

6.これからのスマートな行政サービスの姿

 海外におけるスマートシティでは、住民・事業者と行政機関との位置関係が対峙ではなく、「共同建設」ひいては「共同管理」といった新しい機能に変化しつつあります。例えば、米国にはSeeClickFixというアプリがあり、壁の落書きや壊れた信号、詰まった排水管、割れたマンホールなど、緊急通報ではなくても公共空間上で問題がある場所をスマートフォンで撮影してアップロードするだけで、しかるべき公共機関に通報することができます。このアプリサービスは、行政担当が位置の同定や状況把握をより速やかに行うことでレスポンシブな行政サービ スを届けることができる仕組みとして、現在米国内約300の都市が利用しています。(https://seeclickfix.com/)
  デジタル・ガバメント先進国家であるエストニアのEllisというSaaS型Webサービス(https://eliis.ee/)は、保育園・幼稚園における保育児童、保護者、教師および保育施設管理者を連携させるプラットフォームです。保育施設運用に係る情報公開や保護者からの意見、また日々の保育カリキュラムなどを透明性ある状態で公開し、連携させるサービスです。EllisのWebサー ビス設計の特徴の一つは、すべてのユーザーが国民 IDによりログインができるエストニアの情報連携基盤“X-ROAD”を利用していることです。もう一つは、行政側が管理する保育情報を、教師がEllisに直接データ入力するサービス設計となっており、よりダイレクトな行政データの入手・公開を可能としていることです。Ellisのサービスユーザーは拡大 しており、約650の保育施設が利用しています。
 では、日本におけるスマート行政サービスの事例にはどのようなものがあるでしょうか。
 筆者は次の2種類に分類できると考えます。
①行政機関が保有する情報(データ)と、民間企業や市民団体が提供するデジタル公共サービスが連携できる環境や仕組みを整備する(ファシリテートする)こと。
②行政機関が行う支援を、民間企業によるサービスに遜色ないレベルで、直接ユーザー(住民)に届けること。
 ①の事例として、兵庫県加古川市における見守りサービスがあげられます。
 加古川市では、通学時や外出時の子どもの安全を確保するために、通学路、学校周辺、公園や駐輪場周辺および主要道路の交差点などを中心に、1,475台の見守りカメラを設置しています。見守りカメラの設置については、加古川市が“市長と語る「オー プンミーティング」”という協議の場で、住民との対話を繰り返し重ねる中で合意形成をしてきたものです。(https://www.city.kakogawa.lg.jp/soshikikarasagasu/ kyodo/shiminseikatsuanshinka/ICT/1464446595302. html
 この見守りカメラや市の公用車、日本郵便株式会社の配達用車両に「ビーコンタグ(BLEタグ)検知器」を内蔵することで、子どもや認知症のため行方不明となる恐れのある方の位置情報履歴を保護者や家族に知らせる「見守りサービス」を民間事業者と協業して提供しています。
 さらに先進的な取り組みとして特筆すべきは、見守りカメラだけでなく、市民が市公式「かこがわアプリ」をインストールしたスマートフォンもビーコンタグ(BLEタグ)検知器にすることができるようになっている点です。「見守り」という地域の安全に対して、住民がユーザーだけでなく、サービサーとなることもできる新しいサービス設計事例と言えるのではないでしょうか。(https://www.city.kakogawa.lg.jp/soshikikarasagasu/ kyodo/shiminseikatsuanshinka/ICT/1527646378963. html
 ②の直接ユーザーに届ける行政サービスは、「共通性と独自性」や、「届出系」「申請系」「相談系」などという行政サービス種別に注目して情報(データ)を整理することで、利用するICT技術の最適化を図り、より迅速なサービス設計を行うことが可能となります。事例として、筆者が東京都と設計開発した「東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ」(https://covid19.supportnavi.metro.tokyo.lg.jp/)事業をご紹介します。

【図3】東京都 新型コロナウイルス感染症 支援情報ナビ
https://covid19.supportnavi.metro.tokyo.lg.jp/

 この事業は新型コロナウイルスの感染者数が増加していた5月上旬に、東京都が都民に向け支援情報ナビサイトを緊急公開したものです。本事業は、緊急事態宣言により外出自粛を行っていた東京都民や施設店舗の休業要請に応えた都内事業者をターゲットとし、「必要な人に必要な情報を届けること」をコンセプトに展開したものです。まず、弊社が保有する行政サービス情報データベースの中に、全国どの地域の住人であっても利用できる全国共通の新型コロナ対策支援サービス情報を取り込みました。これには、経済産業省によるオープンデータを活用し ています。次に、東京都が独自に、また次から次へと追加提供する行政支援サービス情報のすべてをデータとしてお預かりし、そのデータを「申請系」「相談系」に分け、国の共通サービスと東京都の独自サービスを統合、一元的・網羅的な行政サービス情報のデータベースを開発しました。このデータベースと、都民が自分の状況に合わせて使える行政サービスを、それぞれのニーズに合わせて検索できるナビサイトに連携して運用しています。本事業のもう一つの大切な事業目的として、都独自の支援サービス情報を再活用いただくために、機械判読可能なデータをデータベースから自動生成し、オープンデータとして公開する事業も行っています。最後に、このサイトにはユーザーの誰もが書き込めるアンケートフォーム機能が搭載されており、都民からの要望・ニーズに合わせ、公開から5か月間ですでに大小含め20件ほどの機能改良を行ってきており、アジャイル的に進化し続けていることも書き記しておきます。
 未来志向の行政サービス像は、内閣官房IT総合戦略室より2020年3月末に発表された「デジタル・ ガバメント実現のためのグランドデザイン」に具体例が記されています。(https://cio.go.jp/granddesign)いくつかを要約してみると;
・行政サービスを提供する場所や時間を、提供者の目線で制限するのではなく、一人一人の都合や使い勝手に合わせて提供します。
・行政手続への申請や届出は、紙で提出している書類を単にオンライン上で埋めるのではなく、データ連携によって、一度記入した情報は二度書かせないワンスオンリー化などにより、ストレスなく行われるようになります。
・情報提供のためのWebサイトは、利用者が自ら必要な情報を入手できるようにシンプルで分かり易くなり、また、行政サービス情報が利活用できるデータ形式で共有されることで、タイムリーで継続的な情報提供を進めることができるようになり ます。
など、デジタル技術やデータ連携により行政サービスの届け方がより迅速に、かつ柔軟になる可能性を示しています。また、地方自治体のデジタル・ガバメント推進については、総務省も「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改定の検討」を昨年度よりすすめています。さらに、行政機関が行っている既存業務一つ一つについて、取り扱っている情報を紙ではなくデータで扱う業務に変えていく取り組みが多くの地方自治体で始まっています。

7.最後に

 新型コロナウイルス感染症危機に起因し、間違いなく、社会構造のパラダイムシフトが起きつつあります。「分散化」や「脱中央集権化」のビジョンが社会全体の認識になり、その具体的な方策をそれぞれのレイヤーで自分事として考えるようになってきています。例えば、政府レベルではデジタル・ガバメント実現に向けデジタル庁創設などの動きが加速し、個々の住民レベルでは自分が勤める会社の通勤圏内に居住しなければいけないという制約から解き放たれる人もでてきました。そして、オンライン会議ツール等を利用して場所を問わない働き方が日常となりつつあります。
 今回のパンデミックを経て明らかになったこと、それは、社会的に責任を伴う様々な判断を、迅速に、アジャイル的に行うことができる、ある意味生命的な(柔らかく、しなやかで、環境変化に適応する力に重点を置く)社会システムへの変革が必要であるということです。日本は実は、このような生命的な街づくりに長けている文化をもともと持っていると筆者は思っています。そして、このような有機的な機能を有する社会を支える基盤技術として、AIを代表とするデジタル技術およびデータマネジメント技術に注目が集まっています。これまでのスマートシ ティの原動力として民間企業等が行ってきたAI等の最新デジタル技術および、データ産業に対する投資の流れを、行政機関も同じく行う必要に迫られています。スマートシティは、「住民一人一人のニーズにデジタル技術を利用してよりレスポンシブに応えていくスマートな行政サービスを設計する」ことであっても、十分に成り立つと筆者は考えます。地域住民のための、よりスマートな行政サービス提供を第一歩として、「我が町のスマートシティ実装計 画」を考えてみてはいかがでしょうか。