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2021年8月25日

【RPA】ソフトウェアロボットは自治体をどう救ってくれるのか

業務の効率化を実現する技術として、RPA(Robotic Process Automation)が注目されています。本記事ではRPAとは何か、マクロやAIとの違い、RPAに向いている業務、RPA導入のメリット・デメリット、自治体がRPA導入を急ぐ理由について、解説しています。

RPAとは

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コンピュータ上の作業を自動化してくれるソフトウェア

RPAとは、Robotic Process Automationの略語で、コンピュータを利用して行われる業務プロセスや事務作業を、人に代わって自動化する「ソフトウェアロボット」のことです。

「ロボット」と聞くと、工場の生産ラインなどで作業を行う「産業用ロボット」を思い浮かべる方も多いと思いますが、業務をこなすソフトウェアのことも通称「ロボット」と呼びます。人が行っていた反復作業を正確かつ高速にこなすという意味では、両者は同じですが、「産業用ロボット」が「モノ」を扱うのに対して、「ソフトウェアロボット」が処理するのは「情報」であるという違いがあります。

このRPAに適している業務は、判断を伴わない単純作業。あらかじめ手順を示し命令された業務については、淡々と反復作業を繰り返してスピーディに処理しますが、人が明確な指示を与えない限り、動作してくれません。RPAは、人との協働作業によってはじめて真価を発揮することができるのです。

RPAとExcelマクロ・AIとの違い

RPAとExcelマクロ・AIとの違い
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RPAと同じように、プログラミングによってコンピュータによる業務処理を自動化するツールとして、ExcelマクロやAIなどがありますが、RPAの特徴について理解を深めるためにも、まず、これらのツールとの違いを整理しておきます。

RPAとマクロの違い

マクロは、Excelなどのアプリケーション上で行う一連の操作手順を、そのアプリケーションにあらかじめ登録することによって、自動的に実行してくれる機能のことです。データ集計などのルーチン業務をマクロ言語で記述・登録しておけば、ボタン操作一つで正確に実行してくれます。コンピュータで処理する定型業務を自動化するという点は、RPAとマクロに共通するものですが、次のような違いがあります。

自動化の対象範囲

マクロは、ExcelやWordなどの特定のアプリケーション上でのみ動作します。Excel上・Word上でそれぞれ設定し、処理の指示をしなければ動作しません。これに対してRPAは、複数のアプリケーションを横断して行う業務処理まで自動化することができます。たとえば、売上管理システムから必要な入力データを取得。このデータを反映した請求書を作成し、メール送信を完了させるところまでを自動化できます。

ちなみに、マクロの同義語として「VBA」が使われることがありますが、厳密にいうとこれは間違いです。マクロは、グラフやピボットテーブルと同様、アプリケーションが有する機能の名称であり、このマクロを記述する際に用いる言語がVBAです。

自動化・修正の難易度

マクロは、VBAというプログラミング言語を用いて記述されるもので、複雑な業務を自動化するためには、高度なプログラミングスキルが要求されます。一方RPAは、操作パネルから自動化したい処理を選びながら記述することができます。作業手順のテンプレートも充実しているので、プログラミングの知識がなくても操作が可能で、必要に応じて容易に修正したり調整したりすることができます。

RPAとAIの違い

AIとは「Artificial Intelligence」の略語で、日本では「人工知能」という用語も定着しています。さまざまな定義がありますが、松尾豊教授(東京大学)の著書『人工知能は人間を超えるか』のなかでは、以下のように定義しています。

人間にしかできなかったような高度に知的な作業や判断を、コンピュータを中心とする人工的なシステムにより行えるようにしたもの

『人工知能は人間を超えるか』

このAIとRPAの違いは、どこにあるのでしょうか。その差異を認識することで、RPAのさらなる可能性も見えてきそうです。

AIは「頭脳」、RPAは「手」

RPAは、業務を自動化するシステムそのものを指し、人間が設定する一定のルールのもとで忠実に作業を実行します。業務内容の変化に応じた変更も可能ですが、基本的にはその修正も人間が行います。

AIは、人間にしかできなかった高度な知的作業を行えるシステムで、自ら学習する機能を備え、データーベースに蓄積された情報をもとに、自律的に考えて判断します。こうした両者の特徴を踏まえて、AIは「頭脳」、RPAは「手」とたとえられることもあります。

しかし今後は、RPAのシステムにAIが組み込まれ、データに基づく自律的な判断や作業の振り分けが行えるようになっていくでしょう。非定型作業の自動化はもちろん、業務プロセスの分析やその改善のための意思決定までも自動化できるといわれています。

RPAに向いている業務

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ルール化しやすい業務

作業の流れが決められ、一定のルールに従って行う業務は、RPAに向いています。受信メールに添付されたファイルをフォルダに格納したり、提出書類の不備をチェックするなどの定型業務は、RPAの活用によって業務を効率化できます。

大量のデータを処理する業務

RPAは大量のデータ処理が得意です。人が行うよりもはるかに高速に、データ収集や分析をこなしてくれます。対象情報のみを選別し分別する、データのクレンジングを任せれば、分別されたデータを対象として効率的な分析が進められます。

繰り返しの多い業務

あらかじめ定めた情報ソースから、データを取得しリスト化するなど、定期的に発生する繰り返しの多い業務も、正確にこなすことができます。月次や四半期ごとに行うデータ入力や入力データを他のシステムやアプリケーションへのコピー&ペースト作業、Webサイトから競合他社の新製品情報を定期的に収集・整理する作業も、自動化できます。

コンピュータ上で完結する業務

コンピュータ上で完結する業務であれば、アプリケーションの垣根を越えて自動化することができます。また、Webサイトから収集した大量の情報を加工して、新たな情報とするスクレイピングも得意です。たとえば商品の価格動向を比較表にまとめたり、Webサイトから最新のニュースを分野別に整理したりすることで、最新のトレンド情報を新たなサービスの開発に役立てることができます。

RPA導入のメリット・デメリット

RPA導入のメリット・デメリット
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これまで見てきたような機能や特徴から、注目を集めているRPAですが、すべてに万能というわけではありません。RPAの導入に踏み切る前に、そのメリット・デメリットについて正しく理解することが大切です。

メリット1|業務効率があがる

マニュアル化が進んだ定型業務については、圧倒的なスピードで業務を処理してくれます。また、複数のアプリケーションや個別システムを連携させるような業務にも、RPAは幅広く対応します。これらの業務をRPAに任せることで、社内外とのコミュニケーションが求められる業務や人間にしかできない判断や分析を伴う業務に人的資源を配分することで、業務の効率化が可能です。

メリット2|ミスのない高い品質

人は長時間、同じような作業を繰り返せば、集中力を欠いてミスを起こしやすくなるものですが、RPAなら同じ作業を長時間続けたとしてもミスが誘発されることはありません。人為的なミスを減らし、高い品質を保てることもまた、RPA導入のメリットといえます。

メリット3|コスト削減

RPAの導入には相応の費用はかかりますが、長い目で見れば人件費の削減につながるため、高い費用対効果が期待できます。単純な作業の繰り返しであるにもかかわらず、膨大なデータの処理などに多くの人員をさく必要があった業務にRPAを導入すれば、24時間365日、高速かつ正確に作業をこなして大幅なコスト削減効果が期待できます。

デメリット1|フローやシステム変更による誤作動

RPAは、ルールが定められた定型業務には強いのですが、例外的な処理には弱く、作業を停止してしまうことがあります。とくに、ルールや業務手順を変更する場合には、それぞれの指示に矛盾が生じないかを念入りに点検する必要があります。また、RPAの導入後に、既存のシステムに変更を加える場合には、システムの稼動前にRPAに誤作動が生じないかを確認しなければなりません。

デメリット2|業務のブラックボックス化

それまで多くの人が関わっていた業務が、RPAの導入によって自動化されることで、その業務プロセスについて理解しているのは、RPAを設定した担当者だけになります。その担当者が急な異動や退職によって適切な引き継ぎや情報共有が行われなければ、RPAが誤作動を起こしたとしても、誰も対処することができなくなってしまいます。

デメリット3|不正アクセスや情報漏洩

RPAによる業務の自動化のために、IDやパスワードなどの重要情報へのアクセス権限を付与することがあります。これらの情報が第三者によるアカウントの乗っ取りや不正アクセスに利用されれば、重要な情報が社外に漏洩してしまいます。RPAが担う業務が複数のシステムと連携している場合には、他のシステムにも影響を及ぼすこともあるため、それらを防御するための万全のセキュリティ対策が求められます。

自治体がRPAの導入を急ぐ理由

自治体がRPAの導入を急ぐ理由
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官民を問わず検討が進むRPAの導入ですが、とくに少子高齢化や大都市圏への人口集中をはじめとした社会課題の解決に注力する自治体が、RPAの導入を急ぐ理由についてまとめました。

自治体職員数の減少

総務省によると、地方公共団体の職員数は、1994年をピークとして対1994年比で約52万人減少(2020年4月1日現在)しています。減少要因としては、行政改革による定数削減、団塊世代職員の大量退職、市町村の合併などが挙げられます。生産年齢人口の減少による税収減が見込まれ、今後も定員増加の可能性は低いため、新たな公共サービスの担い手としてRPAの導入が検討されています。

ライフスタイルの多様化、人口構造の変化などによる課題が山積

人々のライフスタイルの多様化や少子・高齢化による人口構造の変化によって、待機児童対策や介護予防、災害対応など、自治体が抱える課題は山積しています。住民一人ひとりに寄り添ったサービス提供を実現するために、自治体職員の業務負担の低減にもRPAの導入は重要です。

「対面」「紙」文化

コロナ渦をきっかけに、社会全体としてペーパーレス化やオンライン化が進んでいますが、行政府においては「紙文化」が色濃く残り、いまなお「対面」での手続きが行われています。これらを改善し、行政のデジタル化を推進することが求められています。

行政特有のシステム構築

行政府においては、多くの場合、異なる業者から複数のシステムが納入されています。言語やフォーマットにも互換性がなく、システム間をつなぐ作業は、人の手によって埋めるしかないという状況です。RPA導入は、このような状況下で業務効率化を図る有効な対策の一つとして検討されています。

RPAの導入は、日本でもすでに多くの企業や行政機関で進んでいます。定型業務にソフトウェアロボットを活用することで、業務の効率化やコスト削減を図り、人的資源をより高度な判断や分析が求められる業務に投入することができます。ただしRPAには向き不向きがあり、とくに導入段階ではどの業務をRPAに任せて運用していくべきかを慎重に検討していく必要がありそうです。

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