「ワクワク」がキーワード 仙台市が追求する 行政とまちのDX

仙台市では、引っ越しや結婚などのライフイベントに応じて必要な手続きや提出書類、申請窓口を確認できる「わたしの手続き案内」サービスをスタートしました。複雑で煩雑な手続きから市民を解放し、スマホ中心の新しい生活様式に合った情報提供を行う動きが加速しています。サービス立ち上げまでの背景、立ち上げ後の評判などを、担当者の大関様に伺いました。

インタビュー:GDXタイムズ編集部、撮影:千葉幹雄(ピーボックス)

仙台市まちづくり政策局 デジタル戦略推進室 
デジタル行政推進担当課長 大関 守様

現場に寄り添い、現場の課題をなんとかしたい

Q まずは仙台市で実装した「わたしの手続き案内」サービスへの想いについて教えてください。

大関様:どこの自治体も同じかと思いますが、引っ越し、結婚など、ライフイベントごとにたくさんの申請や手続きが必要であり、しかも複雑でわかりにくい、さらに複数の窓口での手続きが必要になるという、市民にとって面倒なものになっている問題を何とか解決したいという想いがありました。

それだけでなく、年度末など時期によってはかなりの混雑で数時間かかるというケースもあり、市民からも苦情が多かったと聞いています。現場でも窓口数を増やしたり、混雑状況をWEBで確認できるサービスを始めたり努力はしていたのですが…。手続きを完全デジタル化するところまではすぐには行けないけれど、できるところから始めようということで、「わたしの手続き案内」実装に着手しました。

Q  「わたしの手続き案内」というネーミングに込めた想いは?

大関様:行政側からの一方的な案内ではなく、自分でやらなきゃいけないことは何だろうと市民の皆様に自分事としてとらえてもらえるネーミングがいいと思いました。あなたの環境が変わった時に仙台市に伝えておくことは何ですか?というあくまでも市民本位のアプローチが大事だと思ったので。

市民の使いやすさを追求した「わたしの手続き案内」

Q  仙台市ならではの「わたしの手続き案内」の特徴は何ですか?

大関様:メインメニューの「引っ越し」「結婚」「子育て」「離婚」「ご家族が亡くなった」の他に、「自治体のサポートを受けたい方」ということで、「保育施設の利用」「児童クラブの保護者負担金の減免」「指定難病の医療費助成」の3つの手続き案内を追加したことです。

本市は、これを導入するにあたり、制度が複雑なものなど、わかりやすく案内したい手続きがないか、庁内に募集をかけたんです。手続き案内以外のツールへの要望も含め30項目ぐらいの応募がありましたが、その中で実現性の高そうなこの3つを選んで加えたというわけです。

Q  庁内の声も吸い上げたということですが、調整は大変でしたか?

大関様:引っ越し一つとっても、戸籍から税金関連など担当部署が複数にわたっています。本市の場合は5つの区、総合支所も入れると7つの窓口担当課がありますので、それぞれの部署の了解を得ながら進めるために、区長会議や福祉関係の課長会議、税務関係の課長会議など、あちこちに説明して回りました。

また、必要な手続きを案内するための紙ベースのチェックリストはもともと各区にあり、それぞれの区のホームページにも載っているのですが、各区が別々に作っているので様式も項目も違うという問題がありまして…。案内する項目を全区で統一することから調整しなければならず、確かに結構苦労しましたね。

Q  サービス開始から半年、市民や庁内の評判はいかがでしょうか?

大関様:まだ半年ですし、このサービスはほんの一部の分野しかないので、市民からのコエを聞けるのはこれからだと思っています。ただ、制作するときに、市民目線での表現のわかりやすさについてはかなり推敲を重ねました。役所の職員は正確に伝えることを大事にするので、つい法律用語や行政用語を使いたくなりますが、それでは市民に伝わらないかもしれません。市民がわかりにくいと思ってしまったら使ってもらえなくなってしまいますので、間違いのないように正確に、しかもわかりやすくという、バランスをとるのにかなり努力しました。ストレスなく使っていただけることが第一ですから。

反響と言えば、いくつかの自治体から問い合わせはいただきました。皆さん、同じ課題を抱えていらっしゃるので。あと、サイトのキャラクターが可愛いという声は内部でも結構あります。

住みやすいまちづくりへのキーワードは「ワクワク」

Q  「わたしの手続き案内」については、次はどのような進化をお考えですか?

大関様:「わたしの手続き案内」ではまだ限られた手続きしかアプローチできていないので、他の手続きへの拡充も必要ですし、外国の方のための多言語対応も必要だと思っています。このサイトを使える人を増やしていくことで市民に便利になったと実感してもらえるようにしたいですね。

「わたしの手続き案内」はあくまで入り口でしかありません。手続きをわかりやすく、便利に調べられるようにするという仕組みは作ったので、ここからどう育てていくか、次のステップとしては、調べて分かった手続きをそのまま申請までデジタルで済むようにするとか、ワンストップ窓口を目指して取り組んでいくのだと思っています。一つの窓口で手続きが済んだり、申請書を書かなくていいようになったり。ただ、どうしても窓口に来ていただかなくてはいけないものもあるので、オンライン化できるものと、そうでないもの、両方をより利便性を向上できるようにしなければいけないですね。実際、今すでに、お悔やみに関係する手続きを効率化し、窓口を一本化しようという検討も進んでいます。

仙台市庁舎

Q  仙台市が目指していくDXとは?

大関様:ホームページでも公開しているのですが、6月に仙台市DX推進計画を発表しました。多様化するニーズに対してデジタル技術を使って一人一人に合ったサービスを提供する、高齢者などデジタルに不慣れな方も誰一人取り残さないという方針です。コンセプトは「デジタルでみんなワクワクスマートシティ」ということで、仙台市で暮らす人が皆ワクワクするような住みやすいまちづくりを目指します。

ポイントは、行政のデジタル化とまちのデジタル化の両面から取り組んでいくということです。行政側で内部のデジタル化を進めるのと同時に、市民の皆様の生活をデジタルで住みよいまちにしていくことが大事です。行政のデジタル化で職員が市民に関わる時間が増え、よりよいまちづくりにつながっていくといういい循環を起こしたいですね。

まずは計画に掲載している個別の取り組みを一つ一つ着実に実現していこうと取り組んでいますが、おそらくそうしているうちに、デジタル技術も進化するし、市民のニーズも変化するでしょう。それらに柔軟に対応していくことで、「デジタルでみんなワクワクスマートシティ」のコンセプト通り、ワクワクするようなまちづくりを推進していきたいと思っています。

仙台市 デジタルトランスフォーメーション(DX)推進計画

Q  話はそれますが、大関様ご自身が最近ワクワクするのは?

大関様:以前から健康のためランニングをしています。コロナ前は、東京に行く機会を利用して皇居ランにも何度か行きました。コロナで市民向けのマラソン大会も中止になっていますが、シューズを新しくしたりウェアを買ったりしてワクワク感とモチベーションを維持してます(笑)。仙台国際ハーフマラソンが開催されるようになったらまたチャレンジしたいですね。

●仙台市「わたしの手続き案内」