横須賀市・上地市長に聞く!横須賀市が追求する市民目線の行政DXとは?②

横須賀市長・上地克明様(右)
株式会社アスコエパートナーズ代表取締役社長・安井秀行(左)

全国の自治体に押し寄せるDXの波の中で、横須賀市は、単なる電子化、デジタル化ではない市民目線の行政DXを実現するため様々なアプローチを開始しています。横須賀市が目指す市民のため・職員のためのDXについて、最前線で取り組む横須賀市の上地市長と、この度スタートした結婚・子育てなどの「手続きナビ」(2021年度グッドデザイン賞受賞)を構築した株式会社アスコエパートナーズ代表取締役社長・安井との対談の模様をレポートします。

対談後半は、上地市長が目指す未来のまちづくりについてお聞きします。(撮影:花田梢)

横須賀市が追求する市民目線の行政DXとは?①

他の自治体と連携して、標準化を目指す

安井:横須賀市は他の自治体ともDXで連携されていますよね?

上地市長:旧軍港市としてもともと交流のあった佐世保市、呉市、舞鶴市と4都市で連携しています。

実は、市長になって福祉部の職場を見た時、紙があふれていたのを見て驚きました。そこで、デジタル・ガバメント推進室長に生活保護業務を直ちに見直しするよう指示しました。その中で、佐世保市・呉市・舞鶴市・トッパン・フォームズ株式会社と本市によるデジタル・ガバメント推進広域研究会を立ち上げ、本市のみの課題でなく、複数自治体で現状分析をし、課題解決に向けた取り組みを進めています。現時点においては、生活保護の入り口部分となる相談業務に関する業務プロセスの標準化の検証をし、国へ成果報告をする段階まできています。

安井:自治体同士で連携して取り組んでいらっしゃるのが、とてもいいと思いました。私たちの取り組みにユニバーサルメニュー®というものがあります。子育てや介護、高齢者の支援制度、災害に関する支援制度など、みんなが使えるメニュー体系を作ろうと標準化を目指しています。標準的なメニューに自治体独自のメニューをのせて、どの自治体でも共有化できるDXのしくみを作りたいと考えています。

上地市長:標準化するシステムとか価値観は自治体間競争でやっても仕方ないので、最低限の支えについては国にやっていただき、あとは情報共有も含めて自治体同士が連携して住民にとってのベストを考えることが大事だと思っています。

安井:そうですね。住民に一番近いのが自治体ですから。また規模が大きすぎるのも難しいので、横須賀市の人口規模で、自治体が主体となって取り組んでおられるのは、とてもいいと思いました。

DXに必要なのはマーケティング力

上地市長:今後のDX推進に向けては、限られた職員で、市民の多様なニーズに応えていかなければなりません。デジタル化の方針・計画を定めていますが、技術は、常に進化しています。常に見直す姿勢で取り組み、どうしたら最大の効果が得られるかを考え、デジタル技術を積極的に活用していきたいと考えています。

時代が変わっていくとマーケティングも変わります。今は、SNSなどを使ってマーケティングができるので、本市でも毎年、高校生を対象とした意識調査を実施し、その結果を活用して、施策を打っていけるようにしています。DXにはマーケティング力も必要じゃないですか?

安井:私も賛成です。DXにマーケティングを!と思っています。何度か国のデジタル・ガバメント分科会に参加しましたが、マーケディング視点が少々弱い気がします。システムを作ったらもうそれでいいのではなく、作っても本当に使えるのか?気に入っているか?いわゆる顧客の声を聞くということをもっと重視してもいいのではないかと感じました。やはりマーケティングしないとDXは使われずということになってしまいかねないので、UXとDXで両輪だと思っています。

逆にマーケティングだけをやっても、技術がないということもあります。技術のいいところはどんどん変化し進歩していくことです。そういった点では、今はクラウドがいいと思います。今までは市役所内にあって、変更があると市役所内のシステムでやらないといけなかったのですが、クラウドだと、技術でどんどん変えていけます。そういうのは民間に知見があるので、うまく取り入れていれていただければと思います。横須賀市が全部自前でやらなくてもいいので、民間と一緒にやることで投資対効果は高まります。

上地市長:それにはオープンデータが肝になると思います。私どもは、市役所で公開できる情報を積極的に提供していく考えで、オープンデータにも力を入れていっています。そのデータを活用した新たな企業活動が生まれることを期待しています。どんどんオープンにして民間の方に活用してほしいですね。役所のものだけではないですから、隠す必要はないです。

安井:市長が先頭に立って、オープンデータ活用してほしいとおっしゃっていることは、横須賀市の住民の方にとってはメリットですね。ただ、オープンデータ化するだけでなく、どういうデータが必要とされていて、どのように住民のメリットにつながるかを考える人が必要になります。

上地市長:今、そこが課題なのですよ。経営戦略の中のDXの仕組みを作っておかないと。これから考えなくてはいけない。優秀な職員たちがいるので、その力を発揮できる環境を整えて、来年からさらに力を入れていきたいと考えています。

未来に向けて、市長が目指すまちづくり

安井:今後は復旧復興対策、緊急経済対策、コロナ支援対策などのコンテンツがポイントになってきそうですね。特に今はコロナに対して、さまざまな支援が横須賀市にもあるかと思いますが、市長は何か興味ある分野はありますか?

上地市長:やはり中小零細企業の支援ですね。福祉に関しては、さまざまな角度で取り組んでいるので何年か後には網羅できると思いますが、経済の活性化に課題があると感じています。

今、本市では個人事業主も企業もとても厳しい状況にあります。中小企業対策は喫緊の課題ですね。

もともと横須賀市は戦前・戦中の軍需産業やその関連の大手企業がありましたが、今はほとんどない状態です。中小零細企業が多いのです。福祉のことをやりながら、将来的には世界的規模の産業を本市に持ってきたいと思っています。観光都市や港湾都市に加えて、核となる分野の企業を誘致したいと、いつも考えています。未来に繋がる土壌や人材を残したいです。

安井:市長が思っていらっしゃる、こういうインダストリーを育てたいという絵を描いて、そこに向けての支援制度をうまく整理してあげることができるといいですね。

上地市長:そうしていければと考えています。

安井:最後に、お忙しい日々かと思いますが、オフはどのように過ごされていますか?

上地市長:このところ、コロナ対策で頭がいっぱいで休みらしい休みはとってないですね。器用な人間じゃないから、なかなかオフが取れなくて。でも、映画鑑賞や音楽は聞くかな…。 もともとはロックボーカリストなのです!市長になる前にはライブハウスで歌っていましたよ。CDも2枚出しています。今はもちろんこういうご時勢なので、歌ったりしていませんが…。コロナ禍の前ですが、バンドやロックが好きな職員がいるので、「YAKUNIN ROCKS!」として3,4回一緒に楽しんだことがあります。職員もプライベートを楽しんでいいんだ!という意識に変わってよかったと思っています。

横須賀市、市民の手続き・届け出をラクにするDXの取り組み

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横須賀市が追求する市民目線の行政DXとは?①